Windows 7のタスクバーをクイック起動と同じように使う方法

Windows 7では、Windows 2000/XP/Vistaにあったクイック起動バーがなくなった。その代わりに、タスクバー自体によく使うアプリケーションを登録して、これをクリックすればすぐに起動できるようになった。つまり、クイック起動バーとタスクバーが一体化されたわけだ。これはこれで使いやすくなった面もあるので、それはよいのだが、クイック起動バーでできたことが、Windows 7のタスクバーではできなくなったという問題もある。
具体的には、URLやデータファイルのショートカットをタスクバーに登録できなくなった。タスクバーに登録できるのはプログラムのショートカットだけである。これは不便だ。
また、タスクバーのショートカットを右クリックしても、「最近使ったもの」、<プログラム名>、「タスクバーにこのプログラムを表示しない」というメニューしか表示されず、「管理者として実行」や「プロパティ」といったコンテキストメニューが表示されなくなった。これも、必ず管理者として実行しなければならないプログラムや、時に管理者として実行したいプログラムを登録する際に不便だ。
Windows 7でも、新規ツールバーを作成することで、そこに登録したショートカットを実行することができる。また、「%userprofile%\AppData\Roaming\Microsoft\Internet Explorer\Quick Launch」というフォルダも残っているので、これを新規ツールバーとして指定することでクイック起動バーとほぼ同じことができる。
新規ツールバーにはURLやデータファイルのショートカットを置くこともできるし、右クリックで「管理者として実行」や「プロパティ」が表示されるので、クイック起動バーと同じように使うことができる。ただし、これはWindows 7のバグだと思うが、新規ツールバーが再起動時に消えてしまうという現象が、必ずではないが、かなり頻繁に起こる。いったん消えてしまうと、再度作成する手間がかかるので、この新規ツールバー機能は非常に使いにくい。
ここでは、こうした不便を解消して、Windows 7のタスクバーを、2000/XP/Vistaのクイック起動バーと同様に使う方法を解説する。

●URLやデータファイルのショートカットを登録する方法
URLやデータファイルのショートカットは、上で述べたように直接には登録できないので、そのファイルを開くアプリケーションのプログラムを登録し、引数としてデータファイル名を渡すようにすれば登録できる。URLであれば、ブラウザを起動するショートカットに引数としてURLを指定すればよい。また例えば、エクセルのデータファイルを開きたい場合は、エクセルを起動するショートカットに、引数としてそのデータファイル名を渡せばよい。
アプリケーションによっては引数を受け付けないものもあるが、大抵のアプリケーションは引数を受け付けるので、ほとんどの場合、この方法が有効だ。具体的な方法は次のとおり。

URLを起動するショートカット登録する方法
ブラウザとしてIE (Internet Explorer) を使う場合を例示する。他のブラウザの場合も同様の方法でできる。

1) 「スタート」メニューからブラウザ (この例ではIE) のアイコンを右クリックして「タスクバーに表示する」をクリック。
2) タスクバーに作成されたIEのアイコンを「Shift」+右クリックして、「プロパティ」をクリック。
3) 「ショートカット」タブの「リンク先」で、IEのプログラムパスに続いて、半角スペース、そして登録したいURLを記述する。URLが長くて記述が面倒な場合は、IEでそのページを開き、URLをクリップボードにコピーし、リンク先の画面で「Ctrl」+「V」で貼り付けることもできる。
これでタスクバーのアイコンをクリックすれば、そのURLがブラウザによって開かれる。

データファイルを開くショートカットを登録する方法 (1)
テキストファイルを開くショートカットを登録する場合を例示する。他の多くのアプリケーションのデータファイルも同様の方法でできる。

1) 「スタート」メニューからデータファイルを開くアプリケーション (この例ではメモ帳) のアイコンを右クリックして「タスクバーに表示する」をクリック。
2) タスクバーに作成されたメモ帳のアイコンを「Shift」+右クリックして、「プロパティ」をクリック。
3) 「ショートカット」タブの「リンク先」で、メモ帳のプログラムパスに続いて、半角スペース、そして開きたいデータファイルのフルパスを記述する。データファイルが深い階層にありフルパスの記述が面倒であれば、エクスプローラでそのファイルを表示し、「Shift」+右クリックから「パスとしてコピー」を実行し、リンク先の画面で「Ctrl」+「V」で貼り付けることもできる。
これでタスクバーのアイコンをクリックすれば、そのデータファイルがアプリケーションによって開かれる。

データファイルを開くショートカットを登録する方法 (2)
多くのアプリケーションのデータファイルは上記の方法でタスクバーに登録することができるが、中には、Word 2007やExcel 2007のように、プロパティ画面でリンク先の編集ができないアプリケーションも存在する。この場合の登録方法をExcelのデータファイルの例で示す。

1) データファイルのショートカットを適当なフォルダ (例えばデスクトップ) に作成する。
2) 作成したショートカットを右クリックして、「プロパティ」をクリック。
3) 「ショートカット」タブの「リンク先」で、データファイルのフルパスの前に半角スペース、さらにその前にそのデータファイルを開くプログラムのフルパスを記述する。プログラムが深い階層にありフルパスの記述が面倒であれば、エクスプローラでそのファイルを表示し、「Shift」+右クリックから「パスとしてコピー」を実行し、リンク先の画面で「Ctrl」+「V」で貼り付けることもできる。
4) 編集したショートカットを右クリックして「タスクバーに表示する」をクリック。
5) 適当なフォルダに作成したショートカットを削除する。
これでタスクバーのアイコンをクリックすれば、そのデータファイルがアプリケーションによって開かれる。
この方法は、上記の (1) の方法で登録できるデータファイルにも有効だ。

●タスクバーのショートカットを管理者として実行する方法
タスクバーのショートカットを管理者として実行する方法 (1)
タスクバーのアイコンを右クリックしてもメニューに「管理者として実行」が表示されないが、「Shift」+右クリックすると、従来のWindowsと同様のコンテキストメニューが表示されるので、ここで「管理者として実行」をクリックすればよい。

タスクバーのショートカットを管理者として実行する方法 (2)
上記 (1) の方法では、常に管理者として実行したいプログラムの場合、いちいち「Shift」+右クリックが面倒だ。そこで左クリックだけで管理者として実行する方法もある。手順は次のとおり。

1) タスクバーの登録したアイコンを「Shift」+右クリックして、「プロパティ」をクリック。
2) 「互換性」タブの「特権レベル」で、「管理者としてこのプログラムを実行する」にチェックを付ける。
これで、「Shift」+右クリックしなくても、左クリックだけで管理者として実行することができる。
この方法はWindows Vistaのクイック起動バーでも有効だ。

タスクバーのショートカットを管理者として実行する方法 (3)
上記 (2) の方法は多くのプログラムで有効だが、エクスプローラやコマンドプロンプトなど、システムに密接に組み込まれたプログラムでは、「このプログラムはこのバージョンのWindowsの一部であるため、互換モードを設定できません。」と言われ、「管理者としてこのプログラムを実行する」にチェックを付けることができない。
この場合でも強制的に管理者として実行する方法がある。次にコマンドプロンプトを例にその手順を示す。

1) 「スタート」メニューからコマンドプロンプトを右クリックして「管理者として実行」をクリック。
2) 「net user administrator /active:yes」と入力して「Enter」キーを押す。
3) コマンドプロンプトを閉じ、「スタート」メニューから「コントロールパネル」→「ユーザーアカウントの追加または削除」を開くと、administaratorが表示されるので、これをダブルクリックし、「パスワードの作成」をクリック。
4) 「新しいパスワード」および「新しいパスワードの確認」欄に適当なパスワードを入力して「パスワードの作成」ボタンをクリック。ユーザーアカウント画面を閉じる。
5) 「スタート」メニューから登録したいプログラム (この例ではコマンドプロンプト) のアイコンを右クリックして「タスクバーに表示する」をクリック。
6) タスクバーのコマンドプロンプトのアイコンを「Shift」+右クリックして、「プロパティ」をクリック。
7) 「ショートカット」タブの「リンク先」で、プログラムファイルのフルパスの前に半角スペース、さらにその前に「%windir%\System32\runas.exe /user:administrator」と入力する。
これで、タスクバーのアイコンをクリックするとadministratorのパスワードを聞かれるので、設定したパスワードを入力すると、管理者 (administrator) として実行することができる。
この方法では、「Shift」+右クリックで「管理者として実行」の場合のように「ユーザーアカウントの制御」画面が表示されることはない代わりに、毎回パスワードを入力する手間がかかる。

このパスワード入力を省略する方法もある。上記の 7) で「%windir%\System32\runas.exe /user:administrator」と入力するところを、「%windir%\System32\runas.exe /savecred /user:administrator」と入力すると、最初にアイコンをクリックしたときだけパスワード入力を求められるが、次回以降はパスワードが記憶されるため、パスワード入力を求められなくなる。
この方法では、「ユーザーアカウントの制御」画面も表示されず、パスワード入力も不要なので、一番快適に実行することができる。もちろん (2) で登録できるプログラムも、この方法で登録できる。
この方法はWindows Vistaのクイック起動バーでも有効だ。

なお、この際にアイコンの形が実行したいプログラムでないものに変わってしまった場合は、プロパティから「アイコンの変更」で、正しいプログラムを指定してやればよい。