Windows Home Serverとのマルチブート

 Windows Home Serverは、Windows Server 2003ベースの家庭向けサーバー製品です。価格が安く面倒な設定なしで、ファイルサーバー、アプリケーションサーバー、バックアップサーバーとして利用できるなど、かなり魅力的な製品ですが、いくつか注意しなければならない点があります。
 まず現在は英語版のみの提供であり日本語版が提供されるかどうかは不明です。もう1つ重要な点は、インストーラが特殊で、PCに接続されているすべてのHDD、パーティションを無条件にフォーマットしてしまうことです。そのため、すでに別のOSがインストールされているPCの空きHDD領域にHome Serverをインストールして、マルチブートにしようと思うと、とんでもないことになります。基本的にHome Serverは、PCに単独のOSとしてインストールして使うものと言えます。
 それでもなお、Home Serverをマルチブートで使いたいという場合は次の方法でできます。

■先にHome Server、後からWindows 2000/XP/2003/Vista/2008/7をインストールする場合

 この場合は難しいことはありません。Home ServerはWindows Server 2003と同等なので、Windows NT/2000とWindows XP/2003、32bitと64bit Windowsのデュアルブート、およびWindows Vista/2008/7と旧Windowsとのデュアルブートを参照してインストールすればよいでしょう。
 ただ、Home Serverをインストールした後では、PCに接続されているすべてのHDD、すべてのパーティションがHome Server用のデータ領域として確保されているため、後からインストールするWindows 2000/XP/2003/Vista/2008/7用のパーティションをHome Serverのデータ領域から解除しておくことを忘れないようにします。

■Windows 2000/XP/2003/Vista/2008/7のインストール後にHome Serverをインストールする場合

 この場合は、最初に書いたように、PCに接続されているすべてのHDD、すべてのパーティションがフォーマットされてしまうため、Windows 2000/XP/2003/Vista/2008/7をインストールした同じHDDにHome Serverをインストールすることができません。Windows 2000/XP/2003/Vista/2008/7のパーティションを隠しパーティションにしてもだめです。
 したがって唯一の方法は、Windows 2000/XP/2003/Vista/2008/7をインストールしたHDDとは別のHDDにHome Serverをインストールするしかありません。そして、Home ServerをインストールするときはWindows 2000/XP/2003/Vista/2008/7のHDDを外しておきます。Home Serverのインストール後にWindows 2000/XP/2003/Vista/2008/7のHDDを接続して、マルチブートの設定を行います。
 Vista/2008/7およびWindows XPとHome Serverとのデュアルブートの設定は次のとおりです。

●Home ServerとVista/2008/7のデュアルブート
1) Vista/2008/7をインストールしたHDDを1番目のHDDに、Home ServerをインストールしたHDDを2番目のHDDとして接続する。
2) これで起動するとVista/2008/7が起動するので、エクスプローラでHome ServerのHDDのルートにある "ntldr"、"NTDETECT.COM"、"boot.ini" をVista/2008/7のHDD (C:ドライブ) のルートに移動 (またはコピー) する。
3) boot.iniをエディタで開き、次のように編集する (rdisk(0) をrdisk(1) に変更)。

[boot loader]
timeout=30
default=multi(0)disk(0)rdisk(1)partition(1)\WINDOWS
[operating systems]
multi(0)disk(0)rdisk(1)partition(1)\WINDOWS="Windows Server 2003 for Small Business Server" /noexecute=optout /fastdetect

 この後、BCDストアにHome Serverを登録してやります。その方法としては、bcdeditコマンドを使う方法、EasyBCDを使う方法、VistaBootPROを使う方法がありますので、それぞれを分けて説明します。いずれかを実行してください (bcdeditコマンド、EasyBCD、VistaBootPROについては、「Windows Vista/2008/7と旧Windowsとのデュアルブート」を参照してください)。

■bcdeditコマンドを使う場合

4) [コマンドプロンプト] を右クリックして [管理者として実行] し、コマンドプロンプトに次のコマンドを入力する。
  bcdedit /create {ntldr} /d "Windows Home Server"
  bcdedit /displayorder {ntldr} /addlast
  bcdedit /set {ntldr} device partition=C:
  bcdedit /set {ntldr} path \NTLDR

画面1

■EasyBCDを使う場合

4) EasyBCD 1.7.2で「Add/Remove Entries」をクリックし、「Add an Entry」ボックスの「Windows」タブで、画面のように設定し、「Add Entry」ボタンをクリックする。

画面2

■VistaBootPROを使う場合

4) VistaBootPRO 3.3で「Manage OS Entries」から「Add New OS Entryにチェックを付けて、画面のように設定し、「Apply Updates」ボタンをクリックする。

画面3
 これでVista/2008/7とHome Serverのデュアルブートができるようになります。

●Home ServerとWindows XPのデュアルブート
1) Home ServerをインストールしたHDDを1番目のHDDに、XPをインストールしたHDDを2番目のHDDとして接続する。
2) Home Serverを起動し、C:ドライブのルートにある "boo.ini" を次のように編集する (XPのARCパス名を記述した行を追加する:XPが最初の基本パーティションにある場合)。

[boot loader]
timeout=30
default=multi(0)disk(0)rdisk(0)partition(1)\WINDOWS
[operating systems]
multi(0)disk(0)rdisk(0)partition(1)\WINDOWS="Windows Server 2003 for Small Business Server" /noexecute=optout /fastdetect
multi(0)disk(0)rdisk(1)partition(1)\WINDOWS="Windows XP" /noexecute=optin /fastdetect

 これでWindows XPとHome Serverのデュアルブートができるようになります。Windows 2000の場合も同様。