「コンピュータの管理」のアプレットは、MMCコンソールによるアプレットで、複数のアプレットを統合したものになっている。機能は大きく [システム ツール]、[記憶域]、[サービスとアプリケーション] の3つに分かれており、[システム ツール] には [イベント ビューア]、[システム情報]、[パフォーマンス ログと警告]、[共有フォルダ]、[デバイス マネージャ]、[ローカル ユーザーとグループ] があり、[記憶域] には [ディスクの管理]、[ディスク デフラグ ツール]、[論理ドライブ]、[リムーバブル記憶域] があり、[サービスとアプリケーション] には [WMI コントロール]、[サービス]、[インデックス サービス] がある (画面20-1)。
画面20-1:「コンピュータの管理」のアプレットの画面
それでは順番に説明しよう。最初の [イベント ビューア] については「イベント ビューア」のアプレットと同じものなので、それを参照していただきたい。
[システム情報] には [システムの概要]、[ハードウェア リソース]、[コンポーネント]、[ソフトウェアの環境]、[Internet Explorer 5] の項目がある。これは、[スタート] メニューの [プログラム] − [アクセサリ] − [システム ツール] −[システム情報] から起動するものと同じだ。
[システムの概要] では、画面20-2のようにOS、マザーボード、CPU、メモリなどの情報が表示される。
画面20-2:[システム情報] − [システムの概要] の画面
[ハードウェア リソース] では、[競合/共有]、[DMA]、[手動インストールのハードウェア]、[I/O]、[IRQ]、[メモリ] の情報を表示する。
ここで注意したいのは、[競合/共有] の情報だ。画面20-3ではIRQ19がUSB Host ControllerとSB Live!とで共有されていることを表示している。この場合は両デバイス共に、同じIRQを共有しても問題ないので心配はいらないが、デバイスによっては共有すると問題となるものがある。それがつまり競合になるわけだが、そうした競合が起きていないかをこの画面で確認しておこう。
画面20-3:[システム情報] − [ハードウェア リソース] − [競合/共有] の画面
[コンポーネント] では、[マルチメディア]、[ディスプレイ]、[赤外線]、[入力]、[モデム]、[ネットワーク]、[ポート]、[記憶域]、[印刷]、[問題のあるデバイス]、[USB] といった項目が並んでいる。
ここで重要なのは [問題のあるデバイス] だ。画面20-4には、幸いにも問題となるデバイスが存在しないが、もしここで問題のあるデバイスが表示されていたら、そのデバイスは正常に動作していないことになるので、何らかの対策が必要になる。
画面20-4:[システム情報] − [コンポーネント] − [問題のあるデバイス] の画面
[ソフトウェアの環境] では、[ドライバ]、[環境変数]、[ジョブ]、[ネットワーク接続]、[実行中のタスク]、[読み込み済みのモジュール]、[サービス]、[プログラム グループ]、[スタートアップ プログラム]、[OLE の登録] といった項目があるが、ここでは [実行中のタスク] に注目したい。
画面20-5のように、現在実行されているプログラムが一覧表示される。実行中のプログラムに見慣れないものがある場合は、それがウィルスである可能性があるので注意が必要だ
画面20-5:[システム情報] − [ソフトウェアの環境] − [実行中のタスク] の画面
[Internet Explorer 5] では、[概要]、[ファイル バージョン]、[接続]、[キャッシュ]、[コンテンツ]、[セキュリティ] といった項目がある。[ファイル バージョン] を見ると、画面20-6のように<ファイルが見つかりません>と表示されているものがある。これは、そのシステムで必要のないファイルがインストールされていないだけなので、何ら心配する必要はない。
画面20-6:[システム情報] − [Internet Explorer 5] − [ファイル バージョン] の画面
[パフォーマンス ログと警告] には [カウンタ ログ]、[トレース ログ]、[警告] がある。これは、システムのパフォーマンスを計測して、どこに問題があるかを調べたり、リソースが設定値以下になったときに警告するなどの機能を利用するためのものだ。[カウンタ ログ] では [System Overview] が表示されている (画面20-7)。
画面20-7:[システム ツール] − [パフォーマンス ログと警告] − [カウンタ ログ] の画面
[System Overview] をダブルクリックすると、画面20-8が表示される。[全般] タブでは、ログを収集するカウンタの追加/削除とサンプリング間隔の指定ができる。
画面20-8:[System Overviewのプロパティ] の [全般] タブ画面
[ログ ファイル] タブ (画面20-9) では、ログファイル、種類、サイズを指定できる。
画面20-9:[System Overviewのプロパティ] の [ログ ファイル] タブ画面
[スケジュール] タブ (画面20-10) では、ログの開始と停止のスケジュール、ログファイルを閉じたときの動作を指定できる。
画面20-10:[System Overviewのプロパティ] の [スケジュール] タブ画面
[トレース ログ] と [警告] は、デフォルトではなにも設定されていない。トレースログを設定するには、[トレース ログ] を右クリックして [新しいログの設定] を開き、ログの名前を入力すると画面20-11が表示される。[全般] タブでは、収集するイベントを指定できる。
画面20-11:[トレース ログ] の新規作成画面の [全般] タブ画面
[ログ ファイル] タブと [スケジュール] タブ画面は [System Overview] の場合と同じだ。[詳細設定] タブ (画面20-12) では、バッファの設定ができる。
画面20-12:[詳細設定] タブ画面
警告機能を利用するには、[警告] を右クリックして [新しい警告の設定] を開き、名前を入力すると画面20-13が表示される。[追加] ボタンをクリックして、警告を設定したいカウンタを追加し、制限値、サンプリング間隔を指定する。
画面20-13:[警告] の新規作成画面の [全般] タブ画面
[操作] タブ (画面20-14) では、警告が起きたときの操作を指定する。なお、[スケジュール] タブは [System Overview] の場合と同じだ。
画面20-14:[操作] タブ画面
[共有フォルダ] には [共有]、[セッション]、[開いているファイル] の3項目がある。[共有] では、そのPCで共有されているフォルダが一覧表示される。最後に$が付いているのは管理共有だ。共有フォルダをダブルクリックすると、プロパティが表示される (画面20-15)。[全般] タブではユーザー数の設定ができる。
画面20-15:[共有フォルダ] − [共有] で表示されている共有フォルダのプロパティ画面
[共有のアクセス許可] タブ (画面20-16) では、アクセス許可を与えるユーザーの追加/削除とアクセスの種類を設定できる。
画面20-16:共有フォルダのプロパティの [共有のアクセス許可] タブ画面
[共有フォルダ] の [セッション] では、現在ネットワーク上から、そのフォルダを共有しているユーザーが表示される。このユーザーを右クリックして [セッションを閉じる] を実行すると、強制的に切断することができる (画面20-17)。
画面20-17:[共有フォルダ] の [セッション] 画面で、セッションを強制切断する
[開いているファイル] 画面では、ネットワーク上の別PCから開かれているファイルが表示される。このファイルを右クリックして [開いているファイルを閉じる] を実行すると、強制的にそのファイルが閉じられる (画面20-18)。
画面20-18:[共有フォルダ] の [開いているファイル] 画面で、ファイルを強制的に閉じる
次の [デバイス マネージャ] は、「システム」のアプレットから開くデバイスマネージャと同じもので、[ローカル ユーザーとグループ]も「ユーザーとパスワード」のアプレットから開くものと同じだ。共に説明は各々の項を参照していただきたい。
[記憶域] の [ディスクの管理] では、ハードディスクやリムーバブルディスクの管理ができる。画面には非常に多くの情報が表示されており、これだけでディスクに関するほとんどのことが分かる (画面20-19)。ディスクにトラブルが起きた場合は、まずここを見ればたいていの場合、原因を発見できる。
右の上ウィンドウからは、パーティションのドライブ名、種類、ファイルシステム、状態、容量、空き容量、システムパーティション/ブートパーティションなどが、下ウィンドウからはパーティションのハードディスク上での物理的位置が分かる。プライマリ (基本) パーティションは濃い青色で、拡張パーティションは緑色で、論理パーティションは青色で表示されている。
画面20-19:[記憶域] の [ディスクの管理] 画面
[操作] メニューからは [ベーシック ディスク構成の復元] を実行することができる (画面20-20)。これは、ユーザーの操作間違いや何らかのトラブルによりディスクの構成が壊れた時に、以前 [ディスクの管理] を終了したときに保存されたディスクの構成情報を元に復元する機能だ。必ずしもこれで復元できるとは限らないが、ディスクの構成がおかしくなったときには試してみる価値があるだろう。
画面20-20:[操作] メニューから [ベーシック ディスク構成の復元] を実行する
ドライブを右クリックして [ドライブ文字とパスの変更] を実行 (画面20-21) すると、ドライブ名を変更する画面が表示される (画面20-22)。
画面20-21:ドライブの右クリックメニューから[ドライブ文字とパスの変更] を実行する
画面20-22:[ドライブ文字とパスの変更] 画面
ここで [編集] ボタンをクリックすると、ドライブ名の変更ができる。ただし、すでに使われているドライブ名には変更できない。また、ブートドライブの場合は変更できない (レジストリの編集で可能だが、お勧めしない)。システムドライブの場合は、そのドライブがアクティブでない状態にすることで変更することが可能だ。
[削除] ボタンをクリックすると、そのドライブ名が削除される。ドライブ名がないとエクスプローラからアクセスできなくなる。やはりブートドライブおよびアクティブなシステムドライブの場合はドライブ名を削除できない。
[追加] ボタンをクリックすると、ドライブ名のないドライブであれば新規にドライブ名を付けることができる。またこのドライブを別のNTFSドライブのフォルダにマウントすることができる (画面20-23)。別ドライブのフォルダにマウントすると、見かけ上そのフォルダの容量が増える。なお、マウント操作を行うフォルダは空でなければならない。
画面20-23:[ドライブ文字またはパスの追加] 画面
ドライブの右クリックメニューからは、そのディスクの削除やフォーマットも行える。そのドライブが基本パーティションであれば、[パーティションをアクティブにマーク] を実行することもできる。アクティブなパーティションは1つのハードディスクに1つだけ存在できる。また [プロパティ] を開くと、画面20-24が表示される。
画面20-24:ドライブのプロパティ画面
[全般] タブではボリュームラベル名の変更と容量の確認ができる。また [ディスクのクリーンアップ] ボタンをクリックすると、[ディスク クリーンアップ] ツールが起動する (画面20-25、20-26)。これは、[スタート] メニューの [プログラム] − [アクセサリ] − [システム ツール] − [ディスク クリーンアップ] でも起動できる。
画面20-25:[ディスク クリーンアップ] ツールの [ディスク クリーンアップ] タブ画面
画面20-26:[ディスク クリーンアップ] ツールの [詳細オプション] タブ画面
ドライブのプロパティの [ツール] タブ (画面20-27) では、エラーチェック、バックアップ、最適化ができる。
画面20-27:ディスクのプロパティの [ツール] タブ画面
[チェックする] ボタンをクリックすると、[チェック ディスク] ツールが起動する (画面20-28)。
[バックアップする] ボタンをクリックすると、[バックアップ] ツールが起動する (画面20-29)。これは、[スタート] メニューの [プログラム] − [アクセサリ] − [システム ツール] − [バックアップ] で起動するものと同じであり、Veritas社の「Backup Exec」のサブセットだ。[バックアップ] ツールについての使い方の説明は省略するが、[システム修復ディスク] だけは必ず作成しておくことをお勧めする。
また [最適化する] ボタンをクリックすると、[ディスク デフラグ ツール] が起動する。これについてはこの後で説明する。
画面20-28:[チェック ディスク] ツール
画面20-29:[バックアップ] ツール
ディスクのプロパティの [ハードウェア] タブでは、フロッピィディスクを含む、接続されているすべてのドライブが表示される (画面20-30)。
画面20-30:ディスクのプロパティの [ハードウェア] タブ画面
[共有] タブでは、ドライブ単位での共有が表示される (画面20-31)。[アクセス許可] ボタンをクリックしてアクセス権を変更したり、[新しい共有] ボタンをクリックして新規共有を作成できる。
画面20-31:ディスクのプロパティの [共有] タブ画面
[ディスクの管理] 画面で、下ウィンドウの「ディスク 0」などとある部分を右クリックすると、それがリムーバブルドライブで、ドライブにメディアが入っているときは、[取り出し] を実行できる (画面20-32)。
画面20-32:リムーバブルドライブにメディアが入っていると [取り出し] が実行できる
同様に、ベーシックディスクのハードディスクを右クリックすると、[ダイナミック ディスクにアップグレード] がメニューに表示され、これを実行すると、画面20-33が表示され、ダイナミックディスクに変換できる。ダイナミックディスクに変換すると、ソフトウェアRAIDが利用できるようになったり、ダイナミックにパーティションのサイズを変更できたりする。ただし、ダイナミックディスクへの変換はドライブ単位ではなく、ハードディスク単位でなければならない。また、ダイナミックディスクはDOSやWindows 9x/NTからはアクセスできなくなる。さらに、いったんダイナミックディスクに変換したハードディスクは、データを保ったまま元のベーシックディスクに戻すことができないので、ダイナミックディスクへの変換は十分に慎重に行って欲しい。
画面20-33:ベーシックディスクをダイナミックディスクに変換する
[記憶域] の [ディスク デフラグ ツール] は、ディスクの断片化 (フラグメンテーション) を解消するために、ディスク上のデータを並べ換えるツールだ。(画面20-34)。分断化の状態がグラフィカルに表示され、操作は [分析]、[最適化] のボタンをクリックするだけなので簡単だ。なお、使用中のファイルは移動できないため、最適化を行っても完全には断片化を解消することはできない。このツールはExecutive Software社の「Diskeeper」のサブセットで、[スタート] メニューの [プログラム] − [アクセサリ] − [システム ツール] − [ディスク デフラグ] でも起動できる。
画面20-34:[ディスク デフラグ ツール] の画面
[記憶域] の [論理ドライブ] はドライブ名がどのドライブにマッピングされているかを示すもので、情報を表示するだけのものだ (画面20-35)。
画面20-35:[論理ドライブ] の画面
[記憶域] の [リムーバブル記憶域] は、利用可能なバックアップデバイスをメディアプールを使うことで、バックアップアプリケーションが個々のデバイスに対応することなく、共通のAPIでバックアップ動作ができるようにしたものだ (画面20-36)。ただし、この機能を使うためには、バックアップアプリケーションが [リムーバブル記憶域] に対応している必要があることと、よほど大規模なバックアップシステムでないと、この機能を使うメリットがないことから、一般のユーザーが使うことはほとんどないだろう。
画面20-36:[リムーバブル記憶域] の画面
[サービスとアプリケーション] の [WMI コントロール] では、WMI (Windows Management Instrumentation) サービスの構成と制御を行うことができる (画面20-37)。
WMIサービスは、エンタープライズネットワークを介したアクセスと管理情報の共有のための機能で、一般のユーザーが使うことはほとんどない。
画面20-37:[WMI コントロール] の画面
[サービスとアプリケーション] の [サービス] は、この後で説明する「サービス」のアプレットと同じものなので、その項を参照していただきたい。
[サービスとアプリケーション] の [インデックス サービス] は、ローカルのハードディスクやネットワークドライブ内を、テキスト内容、作成者、サイズといった属性により検索する際に、より高速に行えるようにあらかじめインデックスを作成しておくというサービスだ。
インデックスサービスはデフォルトでは無効になっているので、これを使うためには、[スタート] メニューから [検索] − [ファイルやフォルダ] を実行し、[検索オプション] − [インデックス サービス] をクリックし、[はい。インデックスサービスを有効にして、コンピュータのアイドル時に実行します] にチェックを付ける (画面20-38)。これで、インデックスサービスがバックグラウンドで実行され、自動的にインデックスが作成される。この後、ユーザーがインデックスの作成を意識する必要はない。
画面20-38:インデックスサービスを有効にする
[インデックス サービス] の [System] − [ディレクトリ] では、インダックスを作成するドライブ・フォルダを追加/削除できる (画面20-39)。[System] − [カタログのクエリ] では、実際の検索ができる (画面20-40)。
画面20-39:[System] − [ディレクトリ] で、インデックスを作成するドライブ・フォルダを追加/削除できる
画面20-40:[System] − [カタログのクエリ] で実際の検索を行うことができる